水仙的幻想 薄田泣菫

水仙の幻想

薄田泣菫

翻譯:王志鎬

? 冬天,在所有草木枯萎了的后園一隅,長著五六棵水仙花。

? 在這園中植物肉質(zhì)肥厚的根球上,豐腴雪白的肌膚露了出來,橫臥在寒冷干燥的土地上,有著如象牙雕刻品似的圓形與厚度,高舉著彎彎的花莖和葉子。


すべての草木が冬枯れはてた後園の片隅に、水仙が五つ六つ花をつけてゐる。

そのあるものは、肥(ふと)り肉(じし)の球根がむつちりとした白い肌もあらはに、寒々と乾いた土の上に寢転んだまま、牙彫(げぼ)りの彫物のやうな円みと厚ぽつたさとをもつて、曲りなりに高々と花莖と葉とを持ち上げてゐる。

綠中帶白的,女人手指似的優(yōu)美翹起的葉叢,像是在用指尖輕輕彈奏、發(fā)出極其靈敏的金屬聲音的金的和銀的酒杯。

白みを帯びた緑の、女の指のやうにしなやかに躍つてゐる葉のむらがりと、爪さきで軽く弾(はじ)いたら、冴(さ)え切つた金屬性の響でも立てさうな、金と銀との花の盞(さかづき)。

在這葉面上,酒杯的底部,在那凍得索索發(fā)抖的嚴冬陽光中,細雪在微微嘆息,積攢起來又融化,積攢起來又融化。

 その葉の面(おもて)に、盞の底に、寒さに顫(ふる)へる真冬の日かげと粉雪のかすかな溜息とが、溜つては消え、溜つては消えしてゐる。

? 水仙也在嘆息著。從那金的銀的酒杯悄悄灑落下來的花的芳香,隨著大氣的飄動,無聲地浸透著周圍,搖曳著。這一帶干巴巴的土塊,被不斷地熏香、潔凈。水仙如同許多美麗的生命一樣,一面從這荒蕪、堅硬的土中生長出來,一面凈化著這土地。

 水仙は低く息づいてゐる。金と銀との花の盞から靜かにこぼれ落ちる金と銀との花の芬香(ふんかう)は、大気の動きにつれて、音もなくあたりに浸(し)み透(とほ)り、また揺曳する。ぼろぼろに乾いたそこらの土は、土塊(つちくれ)は、その香気のために絶えず焚(た)き籠められ、いぶし浄(きよ)められている。水仙は多くの美しい生命をもつものと同じやうに、荒つぽい、かたくなな土の中から生れいでながら、その母なる土を浄めないではおかないのだ。

? 所有的香氣,都是從人們心中的思慕與幻想中孕育出來的。我從水仙那冷艷而高傲的芳香之中,感受到裝模作樣走過的年輕尼姑的清苦的生涯。

 すべての香気は、人の心に思慕と幻想とを孕(はら)ませる。私は水仙の冷え冷えとした高い芬香に、行ひ澄ました若い尼僧の清らかな生涯を感じる。

? 如臘石一樣冰冷、皮膚滑潤的后園尼姑,在生來就討厭環(huán)境嘈雜的地方,選擇所有草木都枯敗的、連對著陽光都含淚的季節(jié),在孤寂且寒冷的草庵之中,開始了獨自的生涯。孤零零的環(huán)境,對承擔自己生活的人來說,未必是惡劣的境遇。草木多的時候,沉醉在太陽中,沉醉在碧空中,季節(jié)雖說正當季節(jié),現(xiàn)在太陽的酒杯盛滿了水,而天空的碧藍正在被熏黑。這位持有清潔身的尼姑對這樣的東西連看都不看,卻只顧把眼睛盯著自己清白的舉止,而我正在為使我們的清凈心充滿撲鼻芳香所陶醉。這清凈心的芳香,來自天生的大根球的精髓中,有著讓水仙旺盛地長高的生命的精華。

 蝋石(らうせき)のやうにつめたく、滑らかな肌をしたこの後園の尼僧は、生れつき環(huán)境の騒々しさを好まないところから、わざとすべての草木は枯れ落ち、太陽の光さへも涙ぐむこの頃の時季を選び、孤寒と靜寂との草庵のなかに、獨自の生涯を営み始める。ひとりぽつちといふものは、自分の生活をもつてゐる者にとつては、必ずしも悪い境遇ではない。草木の多くは太陽に酔ひ、また碧空(おをぞら)に酔ふが、時季が時季のこととて、今は太陽の盞も水つぽつくなり、大空の藍碧も煤(すす)けきつてゐる。清浄身(しやうじやうしん)の持主であるこの尼僧は、そんなものには見向きもしないで、その眼はひたすら純白な自らの姿を見つめ、そしてわれとわが清浄心のむせるやうな芬香に酔つゐいる。この清浄心の芬香こそは、持前の大きな球根の髄から盛り上げてくる水仙の生命そのものなのである。

? 偶爾,在細雪散開的時候,戀愛的媒人小蜜蜂等,說不定會心血來潮地來這里訪問。對面是來自孟蜀的優(yōu)秀術(shù)士,鑒于該男子對畫畫之道有著相當高的評價,有時會被領主招來,讓他在御殿前庭之東邊一隅,畫一只野鵲。于是,不知從哪里來的各種各樣的小鳥飛到了這附近,喋喋不休地叫著,噪聲大作。被驚動了的領主,再次將這時作為花鳥畫家名聲大噪的黃荃招來,讓他在庭院的西邊一隅,畫同樣的野鵲,這一次,沒有發(fā)生什么別的奇怪事情。領主就問黃荃這是什么道理。

 どうかすると粉雪のちらつかうとする頃だけに、戀の媒介者である小蜂など、気まぐれにもここに訪れてこようとはしない。むかし、孟蜀にすぐれた術(shù)士があつた。この男は、畫の道にかけてもかなり評判が高かつたので、ある時領主が召し出し、御殿の前庭の東隅で一つがひの野鵲の畫を描かせたことがあつた。すると、どこからともなく色々の小鳥がその近くへ飛んできて、べちやくちやと口喧(くちやかま)しく騒ぎ立てた。それに驚いた領主は、さらにまたその頃花鳥畫家として聲名の高かつた黃筌(くわうせん)を召し出し、庭の西隅で同じやうに一つがひの野鵲を描かせたが、今度は別に何の不思議も起こらなかつた。領主はその理由を筌に訊ねた。

? “恕我冒昧,蓋因我之畫藝所致,那男子術(shù)力不濟……”

「おそれながら私の畫は藝でございますが、あの男のは術(shù)の力でできあがってをりますので……」

? 沉著應答的黃荃的表情,對于來自小哄騙的喧鬧并不在意,真正的藝術(shù)家,只有在寂靜處才能見到,而不是自夸顯赫。現(xiàn)在潔白的水仙花瓣上,雖然缺少小蜜蜂的噪音而不顯愉悅,但我卻可以看到高高的超越和潔癖。

 かういつて答へた黃筌の面(かほ)には、そんな小供騙(だま)しのから騒ぎなどには頓著しない、真の藝術(shù)家にのみ見られる物靜かな誇りがかがやいてゐたといふことだが、私は今水仙の純白な花びらに、小蜂の騒音などを少しも悅ばない、高い超越と潔癖とを見ることができる。

? 與此不是一個道理嗎?水仙的子房不結(jié)一粒種子,正如尼姑不懷孕生子一樣……

 それだからといふではないが、水仙の子房は一粒の実をも結(jié)ばない。ちやうど尼僧が子を孕(はら)まないのと同じやうに……

王志鎬譯自<青云書庫>

2010年2月15日

最后編輯于
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